坐骨神経痛と鍼灸
脚へ広がる痛みやしびれの背景は人それぞれ違います。
腰からお尻、太ももの裏、ふくらはぎへと電気が走るように痛む、
脚にしびれが残って長く立つのも座るのもつらい――坐骨神経痛は、痛む場所が「腰そのもの」ではなく脚に広がるのが特徴です。
このページでは、坐骨神経痛を身体全体の流れの中でどう捉えているか、
鍼灸でどう向き合っていくかをお話しします。
症状の捉え方
西洋医学の視点
坐骨神経痛は、それ自体が病名というより、腰から殿部・脚にかけて走る坐骨神経が刺激されて起こる「症状」をまとめた呼び名と考えられています。背景には、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症といった腰の組織の変化、お尻の奥にある筋肉(梨状筋)の緊張による神経の圧迫などがあるとされ、痛みやしびれが片側の脚へ放散するのが特徴です。同じ「脚の痛み」でも、どの神経のどこが刺激されているかは人によって異なります。
東洋医学の視点
東洋医学では「腰腿痛(ようたいつう)」などと呼ばれ、腰から脚へとつながる経絡――とりわけ脚の後ろを通る足太陽膀胱経の流れに、気・血のめぐりの停滞(不通則痛=通じざれば則ち痛む)が生じた状態と読み解いていきます。冷えや湿気(寒湿)が経絡の流れをふさいで起こるもの、瘀血(おけつ=血の滞り)や痰湿(たんしつ=水分代謝の乱れ)が関わるもの、そして「腰は腎の府」とされ、加齢や疲労で腎の力が弱り経絡を養いきれなくなって起こるものなど、背景はさまざまです。冷えると強まる、座ると強まる、疲れると鈍く重い――そうした痛み方の違いが、お身体を読み解く手がかりになります。
鍼灸でできること
痛みやしびれが走る脚そのものだけでなく、腰・お尻の奥(梨状筋まわり)・太ももの裏といった、坐骨神経とつながりの深い経絡を整え、滞った気・血の流れを動かしていきます。お尻の奥の張りには委中(いちゅう)のような脚の要所もみながら、冷えがかかわる場合はお灸で温めるなど、痛み方や体質に合わせて手立てを変え、繰り返しにくいお身体の状態を目指していきます。
はりのじかんでの向き合い方
痛むのは脚でも、たどっていくと腰や骨盤まわり、座り方や冷え、疲れのたまり方に行き着くことが少なくありません。脚だけを見るのではなく、どんな姿勢で強まり、どんな時にやわらぐのか――その手がかりを一つずつ一緒に確かめていきます。整形外科などでの診断がある場合は、その内容もどうぞお聞かせください。「いつまた走るかわからない」という不安も含めて、おうかがいします。
ご自宅でできること
※ ツボの位置は数ミリで別のツボに変わるため、本ページでは図示していません。
ご来院の際に、お一人ずつお身体に合わせてご案内します。
※ 排尿・排便の異常(膀胱直腸障害)、進行する脚の麻痺や脱力、発熱を伴う場合は、まず医療機関での受診をおすすめしています。