気分の落ち込みと鍼灸
気分の落ち込みは、心だけの問題ではないことがあります。
なんとなく気持ちが晴れない、好きだったことが楽しめない、
朝起きるのがつらい――そんな日が続くと、ご自分を責めてしまう方も少なくありません。
このページでは、気分の落ち込みを心と身体のつながりの中でどう捉えているか、
鍼灸でどう向き合っていくかをお話しします。
症状の捉え方
西洋医学の視点
精神的なストレスや環境の変化、睡眠不足、慢性的な痛みや疲労などが背景にあると考えられています。眠りが足りないと脳の回復が追いつかず、ものごとを否定的に捉えやすくなり、それがさらにストレスを大きく感じさせる――そうした悪循環も指摘されています。落ち込みが長く続き、日常生活に支障が出ている場合は、うつ病など医療機関での治療が必要な状態が隠れていることもあります。
東洋医学の視点
東洋医学では、気分の落ち込みを「情志(じょうし)」――感情の働きの乱れとして捉えます。感情の調節には、精神活動を司る「心」と、気のめぐりを整える「肝」が深く関わると考えられており、ストレスや緊張で肝の働きが乱れ、気のめぐりが滞った状態を「肝鬱気滞(かんうつきたい)」と呼びます。憂うつ感や情緒の不安定、ため息が増えるといったかたちで現れるほか、思い悩みすぎて気や血(けつ)を消耗し、心を養う力が足りなくなって元気が出ない、というタイプもあります。
鍼灸でできること
滞った気のめぐりをゆるめることを軸に、眠りの乱れ・食欲の低下・肩こりや頭の重さといった、落ち込みに伴いやすいお身体の症状を軽くしていくことを目指します。身体の緊張がほどけてくると、心も少し休みやすくなります。医療機関で治療を受けている方には、その治療と並行してお身体を支えるかたちで施術を行っていきます。
はりのじかんでの向き合い方
落ち込みの理由を無理にお聞きすることはありません。まずは眠れているか、食べられているか、呼吸が浅くなっていないか――お身体の側から一緒に確認していきます。「頑張って元気になる」のではなく、休める身体を取り戻すことを最初の目標に、その日の状態に合わせて施術を組み立てていきます。
ご自宅でできること
※ ツボの位置は数ミリで別のツボに変わるため、本ページでは図示していません。
ご来院の際に、お一人ずつお身体に合わせてご案内します。
※ 眠れない日が続く、食事がとれない、つらい気持ちが続く場合は、ひとりで抱えず専門機関や相談窓口へ。
鍼灸は治療の代わりではなく、並行してお身体を支える位置づけです。