むくみと鍼灸
むくみの現れ方は、人それぞれ違います。
夕方になると靴がきつい、靴下の跡がなかなか消えない、
朝は顔がはれぼったい――むくみは「水分の摂りすぎ」だけの問題ではないことが多いです。
このページでは、むくみを身体全体の流れの中でどう捉えているか、
鍼灸でどう向き合っていくかをお話しします。
症状の捉え方
西洋医学の視点
むくみ(浮腫)は、血液中の水分が血管の外へ過剰にしみ出し、皮膚や皮下組織にたまった状態とされ、「急性と慢性」「全身性と局所性」に大別されます。長時間の立ち仕事・座り仕事や運動不足で、ふくらはぎの筋肉が持つポンプの働きが弱まり、静脈の流れが滞って起こる慢性的なむくみが日常では多くみられます。一方で、心臓・腎臓・甲状腺などの病気や、お薬の影響が背景にある場合もあるとされています。
東洋医学の視点
東洋医学では、むくみを「水腫(すいしゅ)」とも呼び、身体の水分(津液)がうまくめぐらず、さまざまなところに停滞することで起こると考えます。水分のめぐりには、飲食物から水分を取り出して運ぶ「脾」、水分を全身に行き渡らせる「肺」、水分代謝の調整役である「腎」の働きが深く関わるとされています。たとえば、脾の働きが弱って余分な水分がたまる「脾虚湿盛(ひきょしつせい・消化吸収の力が落ちて湿気がたまった状態)」、身体を温める力が不足した「脾陽虚・腎陽虚(おなかや足腰が冷えて水分をさばけない状態)」など、同じむくみでも背景は人によって大きく異なります。
鍼灸でできること
長く動かさないことや筋力の低下からくる慢性的なむくみは、鍼灸が向き合いやすい領域のひとつとされています。ふくらはぎなど脚の筋肉にアプローチして滞った流れを促しながら、脾や腎の働きと関わる経絡を整え、水分をさばく力そのものを支えることを目指します。冷えや疲れやすさなど、むくみと一緒に現れやすいサインも含めて、全身のバランスをみていきます。
はりのじかんでの向き合い方
むくみが出る時間帯や場所(顔か、脚か、片側か両側か)、立ち仕事・座り仕事の時間、冷えや食事・睡眠の様子まで、ゆっくり伺うところから始めます。むくみは「体質だから仕方ない」と諦められがちですが、お身体からのサインとして一つずつ読み解いていくと、日々の過ごし方のヒントが見えてくることがあります。鍼灸とあわせて、無理のないセルフケアも一緒に考えていきます。
ご自宅でできること
※ ツボの位置は数ミリで別のツボに変わるため、本ページでは図示していません。
ご来院の際に、お一人ずつお身体に合わせてご案内します。
※ 急に出てきたむくみ、片側の脚だけのむくみ、息切れ・呼吸の苦しさや尿の量の減少を伴うむくみは、心臓・腎臓・血管の病気が隠れていることがあるため、まず医療機関での受診をおすすめしています。