顎関節症と鍼灸
顎の不調の背景は人それぞれ違います。
口を大きく開けると顎が痛む、開け閉めでカクッと音が鳴る、
朝起きると顎やこめかみがだるい――顎関節症は、顎だけでなく、食いしばりや日々の緊張とも関わりが深い症状です。
このページでは、顎関節症を身体全体の流れの中でどう捉えているか、
鍼灸でどう向き合っていくかをお話しします。
症状の捉え方
西洋医学の視点
顎関節症は、顎関節や咀嚼筋の痛み・関節の音・口の開けにくさなどをまとめて呼ぶ診断名とされています。咬筋・側頭筋といった咀嚼筋の持続的な緊張、噛み合わせのアンバランス、そして日中の食いしばりや睡眠中の噛みしめが、その背景にあると考えられています。とりわけ、ストレスや緊張が続くと無意識に歯を食いしばりやすく、症状を強める一因になるといわれています。
東洋医学の視点
東洋医学では、痛みは「流れが滞ると生じる(不通則痛)」「養いが届かないと生じる(不栄則痛)」と考えます。顎まわりには複数の経絡が通っており、ストレスや緊張で気の巡りが滞る「気滞(気の巡りの滞り)」や、それと深く関わる「肝(自律神経の働き)」の高ぶりが、顎まわりの気血の流れを通じにくくすると読み解いていきます。慢性的に繰り返す場合は、滞りが長引いて生じる「瘀血(おけつ/血の巡りの滞り)」が関わることもあるとされています。
鍼灸でできること
こわばった咬筋・側頭筋といった顎まわりの筋肉をゆるめながら、首・肩・背中まで含めて滞った流れを動かしていきます。顎の症状は食いしばりや緊張と結びつきやすいため、顎だけでなく、全身の緊張のかかり方そのものを見ていきます。噛みしめが強い方には、首や肩の力みもあわせて整え、顎に負担が集まりにくいお身体の状態を目指していきます。
はりのじかんでの向き合い方
顎だけを見るのではなく、どんな時に食いしばっているか、睡眠や日々の緊張の度合いまで含めて、顎に負担が集まっている理由を一緒に探していきます。歯科や口腔外科でマウスピースなどの治療を受けている方は、その治療を続けながら、身体の緊張をゆるめる手立てとして併用していただけます。「気づくと噛みしめている」という小さな実感も、どうぞそのままお聞かせください。
ご自宅でできること
※ ツボの位置は数ミリで別のツボに変わるため、本ページでは図示していません。
ご来院の際に、お一人ずつお身体に合わせてご案内します。
※ 口がほとんど開かない、強い痛みが続く、顎が外れる感覚がある場合は、まず歯科・口腔外科などの受診をおすすめしています。